⑦セールス
危篤で意識のなかったときに、わたしの体から切り離された右足は火葬場の人によって引き取り、焼かれました。
足は1Kgほどあったらしい。
火葬場の人が、足を引き取る際にセールスをした。
わたしのこと、助かる見込みがないことを知って言ったのかはわからないけど、
「今、会員になれば次の火葬の際にお安くなりますよ。」
と両親に言った。
その言葉に普段怒らない父がキレて、
「縁起でもないことを言うな、帰れ!」
と怒鳴りつけた。
火葬場のひとは、それ以上何も言わなかった。
もしかしたら、言わなければならない言葉だったのかもしれないのに怒鳴られて少し可愛そうだな。
ふと思うことは、これから先 本当にわたしが焼かれる日がきたとき、体の中に入っているボルトやステントはどうなるのだろうか。